コーヒーの基本

コーヒーの主成分ってなに?魅力的な味や香りを作り出すものとは

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ブレイクタイムにコーヒーを飲んでほっと一息ついたり、スイーツの甘さとコーヒーの苦味でバランスをとったり。大好きな味や香りは、どんな成分でどうやって構成されているの?と気になりますよね。

コーヒーは、種をまいて栽培し、コーヒーノキに実ったコーヒーチェリーが熟した時点で収穫・精選される農作物。成分は品種・生産地・焙煎方法などで違いはありますが、大体を知っておくとコーヒーの奥深さがより実感できます。

ここでは、

コーヒーにはどんな成分があるの?
コーヒーが美味しいのは何の成分?

と気になるあなたへ、色・味・香りを作る成分とレギュラーコーヒー・コーヒー飲料・インスタントコーヒーの成分を一気にご紹介!ほかの飲料と比べてどれだけ多いのかも見ながら、コーヒーの素敵な魅力を感じてくださいね。

コーヒーの美味しい成分

componentコーヒーを目の前にしたときに感じる、魅力的な「色」「味」「香り」。これらを作る成分を1つずつ詳しくみていきましょう。

カフェイン

コーヒーの代表的な成分「カフェイン」は、苦味の約10%を占めるといわれています。また、クロロゲン酸と結合することでコーヒーの濁りを生み出します。含有量は種や産地によってさまざま。一般的には、「カネフォラ種」が「アラビカ種」の約2倍です。

カフェインの効能は以下のとおり。

  • 利尿作用があり、体内の毒素や老廃物を排出しやすくする
  • 脳を活性化させ、集中力・思考力を高める
  • 胃酸の分泌を促す

コーヒーに限らず、医薬品・眠気覚まし用の清涼飲料水・サプリメント・ガムなどのさまざまな製品に使われています。

クロロゲン酸類(ポリフェノール)

コーヒーには、コーヒー酸とキナ酸が結合したクロロゲン酸類が数種類含まれており、その主要成分である「クロロゲン酸」は弱い酸味と苦味を持っています。そのほか、まだ熟していない生豆にはジクロロゲン酸が多く含まれており、メタリックな味不快な渋味の原因にもなっています。

コーヒーの複雑な味や香りは、クロロゲン酸類を含んでいることが主な理由。焙煎時には酸を発生させ、コーヒー豆の香りを作り出します。

また、コーヒーのクロロゲン酸類には「ポリフェノール」がたっぷり。日本人の摂取源はコーヒーが最大だといわれており、以下のような効能があるといわれています。

  • 肝機能の向上により疾患・がんによる死亡リスクを下げる
  • インスリンの正常な分泌の維持を手助けする
  • 寝つきを良くし、睡眠不足を改善する
  • 肌のシミを抑制する

※参照元:ポリフェノールの健康効果|ネスレ株式会社(2021年4月時点)

少糖類

ショ糖(=砂糖)を代表する少糖類は、焙煎時の酸・色・香りを作り出すために重要な成分。カネフォラ種よりもアラビカ種に多く含まれており、コーヒーチェリーが熟するほど増加します。

多糖類

生豆(生の状態)の主要成分。水に溶けないものは豆の硬さなどに影響を与えます。一方、水に溶けるものは抽出したコーヒーに含まれる固形分の主要成分に。口当たりのやさしさやなめらかさを左右します。

アミノ酸

タンパク質を作る約20種類のアミノ酸のうち、コーヒーに多く含まれているのが含硫アミノ酸。生豆のときはほかのアミノ酸と比べて圧倒的に多く、焙煎時に糖類と結合してコーヒー独特の香りを生み出します。

タンパク質

多糖類の次に多く含まれる成分。水溶性のアルブミンが約半分を占め、焙煎時にポリフェノールと結合して香り・色・苦味を作り出します。

脂質

生豆の主な成分。生豆の脂質の75〜80%は油脂で、焙煎・抽出すると「コーヒーオイル」として残り濃厚な香りとコクを作り出します。ただし、ペーパーフィルターではほとんどろ過されないため、レギュラーコーヒーにはほとんどありません。金属フィルターやフレンチプレスなどで抽出した場合に多く含まれています。

コーヒーの成分は焙煎によって変わる

Roastingコーヒーの成分は、生豆から私たちがよく目にする茶色〜黒褐色のコーヒー豆ができるまでに大きく変わります。

コーヒー独特の味や香りが初めて生まれるのは、「焙煎(ばいせん)」によるもの!生豆を煎って熱を加える作業のことで、成分が化学変化を起こすのが理由です。

焙煎前
(生豆)
成分名 焙煎後
(焙煎豆)
50.0〜55.0% 全多糖類 24.0〜39.0%
12.0〜18.0% 脂質 14.5〜20.0%
11.0〜13.0% タンパク質 13.0〜15.0%
6.0〜8.0% 少糖類 0〜3.5%
5.5〜8.0% 全クロロゲン酸類
(ポリフェノール)
1.2〜1.3%
3.0〜4.2% 無機成分 3.5〜4.5%
2.0% 遊離アミノ酸 0%
1.5〜2.0% 脂肪族酸 1.0〜1.5%
1.0〜1.2% トリゴネリン 0.5〜1.0%
0.9〜1.2% カフェイン 〜1.0%
0.0% 腐植酸 16.0〜17.0%

このように、焙煎後の成分は全体の約半分だった全多糖類が3分の1ほどになり、コーヒー豆の色付けをする「腐食酸」が新たに登場。焙煎の方法・時間・温度などの違いでも成分の量が大きく変わるため、仮に同じ品種のコーヒー豆でもさまざまな味や香りが楽しめます。

コーヒーを飲むときの実際の成分

「では、私たちがコーヒーを飲むときの実際の成分は?」

文部科学省が提供する「食品成分データベース」をもとに、3パターンのコーヒーの成分を詳しくみてみましょう!

※参照元:日本食品標準成分表2020年版(八訂)(2021年4月時点)

コーヒー豆(粉)から淹れる「レギュラーコーヒー」

Regular coffee
100gあたり
エネルギー 4kcal カルシウム 2mg
水分 98.6g マグネシウム 6mg
タンパク質 0.2g リン 7mg
脂質 Tr:微量 ビタミンB2 0.01mg
炭水化物 0.7g ナイアシン 0.8mg
灰分 0.2g ビオチン 1.7μg
ナトリウム 1mg タンニン 0.25g
カリウム 65mg カフェイン 0.06mg

※コーヒー粉末10gを熱湯150mlで浸出

コーヒー豆を挽いてコーヒー粉に変え、ハンドドリップなどの方法で淹れるレギュラーコーヒー。自分の好みでイチから淹れる楽しみと、煎りたて・挽きたて・淹れたての本格的な味わいを楽しめるのが魅力です。

お湯でサッと作れる「インスタントコーヒー」

Instant coffee
100gあたり
エネルギー 287kcal カルシウム 140mg
水分 3.8g マグネシウム 410mg
タンパク質 14.7g リン 350mg
脂質 0.3g ビタミンB2 0.14mg
炭水化物 56.5g ナイアシン 47.0mg
灰分 8.7g ビオチン 88.0μg
ナトリウム 32mg タンニン 12.0g
カリウム 3,600mg カフェイン 4.0g

コーヒー粉を乾燥させ、お湯で溶けるように加工したインスタントコーヒー。忙しい朝や仕事の合間のブレイクタイムなど、あまり時間がなくても手軽にコーヒーを飲めるのが魅力です。

生豆の使用量が少ない「コーヒー飲料」

Coffee drink
100gあたり
エネルギー 38kcal カルシウム 22mg
水分 90.5g マグネシウム 6mg
タンパク質 0.7g リン 19mg
脂質 0.3g ビタミンB2 0.04mg
炭水化物 8.2g ナイアシン 0.3mg
灰分 0.3g ビオチン 2.5μg
ナトリウム 30mg タンニン 記載なし
カリウム 60mg カフェイン 記載なし

※乳成分入りの加糖タイプ

缶コーヒーやペットボトルのコーヒーに多いコーヒー飲料。コーヒーとの違いはコーヒー飲料等の表示に関する公正競争規約(公正取引委員会)でしっかり分類されており、内容量100gの生豆換算使用量が「2.5g以上5.0g未満」の場合に用いられる名称です(※コーヒーは5.0g以上)。

コーヒーの成分をほかの飲料・食品と比べてみよう!

Beverageコーヒーの成分のうち、私たちの体に良い影響を与えるといわれる「カフェイン」と「ポリフェノール」。含有量をほかの飲料や食品と比較してみましょう!コーヒーは、それぞれの栄養成分を摂取しやすいことが分かります。

カフェイン

飲料名 カフェイン含有量
(mg/100mlあたり)
備考
コーヒー 60 コーヒー粉10gを150mlの熱湯で浸出させたもの
インスタントコーヒー 57 類粒製品2gを熱湯140mlで溶かしたもの
紅茶 30 茶5gを360mlの熱湯で1.5〜4分間浸出させたもの
煎茶 20 茶10gを430mlの湯(90℃)で1分間浸出させたもの
ウーロン茶 20 茶15gを650mlの湯(90℃)で30秒間浸出させたもの
エナジードリンク 32〜300 製品によって異なる

※参照元:日本食品標準成分表2020年版(八訂)(2021年4月時点)

カフェインの摂取目安は、健康な成人の場合1日あたり400mg。レギュラーコーヒーのマグカップ3杯分(237ml/杯)です。

カフェインの魅力は、眠気覚ましの効果があったりサプリメントや医薬品に使われていたりすること。ただし、適量が条件です。

この摂取目安は、リスク管理機関の世界保健機関(WHO)やリスク評価機関のオーストラリア・ニュージーランド食品基準機関(FSANZ)などの世界機関によってさまざま。日本でははっきりとした評価をしておらず、過剰摂取のリスクについては世界の最新情報を盛り込んで国内に発信しています。

摂りすぎが心配な人は、カフェインがほとんど含まれていないデカフェやカフェインレスがおすすめですよ。

※参照元:食品中のカフェイン|食品安全委員会(2021年4月時点)

ポリフェノール(クロロゲン酸)

飲料・食品名 ポリフェノール含有量
(mg/100ml・100gあたり)
コーヒー 200
緑茶 115
紅茶 96
トマト・野菜ジュース 69
ココア 62
烏龍茶 39
豆乳 36
フルーツジュース 34
麦茶 9
ごぼう 49
ほうれん草 42
ブロッコリー 35
大豆 15
ブドウ 12
赤ワイン 230

※参照元:コーヒーポリフェノールって?|ネスレ株式会社(2021年4月時点)

ポリフェノールの摂取目安は定められていませんが、理想的だといわれているのは1日1,000〜1,500mg。食品からも摂れますが、コーヒーだけなら500mlのペットボトル1本分でクリアできる計算です。

コーヒーは成分のさまざまな化学変化で魅力が生まれる

私たちが大好きなコーヒー。美味しさが感じられるのは、焙煎による成分のさまざまな化学変化でコーヒー豆の色や独特の酸味・苦味・香りなどが作り出されるからだと分かりましたね。

特に、カフェインやポリフェノールはほかの飲料や食品と比べて多く含まれている成分。1日の摂取目安を大幅に超えるのはおすすめできませんが、健康や美容に役立てたいなら毎日続けて飲むと良いでしょう。