コーヒー豆の種類は飲みたい風味で決める!特徴と上手な選び方
キリマンジャロやコロンビアなど、コーヒー豆にはいろんな種類があって迷いがち。飲み慣れているものや、名前を見たことがあるものをつい選んでしまう人が多いのではないでしょうか。
世界各国で生産されているコーヒー豆は、なんと200種類以上!そして、味や香りの種類は実際に飲めるようになるまでの工程で枝分かれしながらどんどん増えていきます。自分好みのコーヒー豆を見つけるのは、なんだか難しそうですよね。
そこで、
「コーヒー豆って種類ごとにどんな味がするの?」
「好きなコーヒーを飲むには?」
とお悩み中のあなたへ、コーヒー豆がもつ「柔らかな苦味」「すっきりした酸味」などの風味の特徴を生産方法や焙煎などの違いとともにご紹介!コーヒー豆の上手な選び方もお届けします。
たくさんの種類を知って、あなたのコーヒーの世界を広げてみませんか?
コーヒー豆は200種類以上!
銘柄は生産国名や土地名が多い
コーヒー豆のほとんどは、生産地の名前がそのまま商品名になっています。その理由は、コーヒー豆が日本に届くまでの環境が生産国によって違うため。味や香りだけじゃなく、カフェインや脂質などの成分量、流通のしやすさなどもそれぞれに特徴があります。
コーヒー豆が生産されている国は、アジア・アフリカ・中米・南米・カリブ海などたくさん!2024年8月現在、ICO(国際コーヒー機関)に登録されている輸出国は45ヵ国、輸入国を加えると75ヵ国だとか。国や地域でコーヒーの種は違いますが、ほとんどが「コーヒーベルト(赤道を中心に南北約25度の地帯)」で栽培されています。
コーヒー豆ができるまでの主な流れは以下のとおり。
- 種子(生豆)を植える
- 発芽後、双葉がついたら苗床に移し替える
- 良好なものを栽培地に植え替える
- コーヒーの木が育ち、約3年後に白い花が咲く
- 果実(コーヒーチェリー)が実り、赤く成熟したら収穫する
- 種子を取り出す
- 乾燥・脱殻・選別して生豆を作る
- 生豆を焙煎してコーヒー豆を作る
植える種子・木の植え方・肥料・栽培設備はどこでも統一できるかもしれませんが、コーヒー豆作りは、土や水の性質・気象条件なども大きく関係!人の手や機械で大切に育てられていることも含め、国や地域の土地柄・人柄がそのまま表現されています。
付加価値のついたものがある
コーヒー豆の中には、生産地に加えて特別な価値が認められものがあります。
ブルーマウンテン | ジャマイカ「ブルーマウンテン」地区産のアラビカ種コーヒー |
---|---|
ハイマウンテン | ジャマイカ「ハイマウンテン」地区産のアラビカ種コーヒー |
ジャマイカ | ジャマイカ産で、上記以外のアラビカ種コーヒー |
例えば、ジャマイカ国で生産されるコーヒーのうち、特定の地区で生産される種類につけられるのがブルーマウンテンやハイマウンテンという特定銘柄。大規模&豊富な資金力をもつ農家が生産する「農園指定」のコーヒーや、小農家同士で品質を高めるために共同作業をする「生産者組合」のコーヒーもあります。
「有機」「フェアトレード」など、認証団体が設定する栽培条件や環境を満たすコーヒーには認証マークが付与。風味や品質管理の素晴らしさをスペシャルティコーヒー協会に認められると、「スペシャルティコーヒー」という呼び名がつきます。
ストレートとブレンドがある
コーヒー豆が商品として使われるときは、1種類だけの「ストレート」といくつかの種類が混ざり合う「ブレンド」があり、さらに選択肢が増えます。
理由は、コーヒー豆の味や香りにはそれぞれ特徴があり中にはクセがあったり苦味や酸味が強かったりなどで飲みにくいものもあるため。
また、コーヒー豆の収穫期は年に1〜2回。生豆の状態では味が変化するので、さまざまな生産国のコーヒーを混ぜないと1年を通して同じ味が作れないためです。
1種類のコーヒーの味わいをそのまま楽しむなら「ストレート」。ブランドやコーヒー店独特の味わいを楽しむなら「ブレンド」がおすすめ。特に、新しい味わいと出会いやすいのはブレンドコーヒーで、それぞれの個性が上手に活かされつつ風味のバランスがしっかりとれています。
コーヒー豆は香りで分かるほど風味が違う
では、コーヒー豆の具体的な種類についてまずは品種からみていきましょう!
日本に輸入されているのはこちら。
- アラビカ種
- カネフォラ種
世界的にも生産量・消費量が多いアカネ科のコフィア属に属する熱帯植物。成分の量やバランスが違うので、香りをかぐだけで分かるほど風味が異なります。
アラビカ種
コーヒー豆の全生産量の約60%を占めるアラビカ種。原産国はエチオピア。アビシニア高原・シダモ・イルガチェフェという地域のコーヒーが有名です。カネフォラ種と比べて少糖類・酸・脂質が多いため、強い酸味と甘い香りを感じるのが特徴です。
カネフォラ種(ロブスタ)
コーヒー豆の全生産量の約40%を占めるカネフォラ種。通称「ロブスタ」ともいい、原産国はアフリカのコンゴ。コーヒーの苦味の元であるカフェインがアラビカ種の約2倍あり、渋みの元であるクロロゲン酸類も多いため強い苦味と香ばしい香りを感じるのが特徴です。
同じ品種でも精選方法によって風味が違う
コーヒー豆は、同じ品種でも風味がさまざま。その理由の1つに、収穫後の生豆の取り出し方(精選方法)や生産国の違いがあります。ここでは、中細挽きでハイロースト(深めの中煎り)のコーヒー豆をペーパードリップで抽出した際の風味を一例に紹介しますね。
非水洗式(ナチュラル)
非水洗式は、主にブラジル・エチオピア・イエメン・インドネシアでおこなわれている伝統的な生豆の取り出し方。コーヒーチェリーをそのまま乾燥させ、果肉とパーチメント(コーヒー豆の殻)を1度に取り除く方法です。乾燥に時間はかかりますが、水や粘液質(ミューシレージ)などの廃棄物を最小限に抑えられるメリットがあります。
アラビカ種の風味の特徴
主な生産国(銘柄) | 風味の特徴 |
ブラジル | 甘味を伴う柔らかな苦味と適度な酸味 |
エチオピア(モカハラー、モカジマ) イエメン(モカマタリ) | フルーティーな甘い香りと柔らかな酸味・コク |
カネフォラ種の風味の特徴
ベトナム ウガンダ ブラジル コートジボワール インドネシア(AP) | 柔らかな苦味と独特の香ばしさ |
水洗式(ウォッシュド)
水洗式は、中南米・カリブ海諸国・アジア・アフリカなど世界で広くおこなわれている生豆の取り出し方。果肉とパーチメントを別々に取り除く方法で、水や設備が多く必要ですがコーヒー豆の品質を均一できるメリットがあります。
アラビカ種の風味の特徴
主な生産国(銘柄) | 風味の特徴 |
ペルー メキシコ ブラジル グアテマラ ホンジュラス エルサルバドル | 甘い香りとすっきりした酸味、後味爽やか |
コロンビア | 甘い香りとしっかりした酸味・コク、重厚な風味 |
ハイチ キューバ ドミニカ共和国 ジャマイカ(ブルーマウンテン) | 香り・酸味・コクのバランスがよく軽やかな風味 |
ケニア エチオピア タンザニア(キリマンジャロ) | しっかりした酸味とコク、芳醇で重厚な風味 |
インド(プランテーション) インドネシア(ガヨマウンテン) | 軽やかな酸味とコク、穏やかな風味 |
パプアニューギニア インドネシア(トラジャ) | 香り・酸味・コクのバランスがよく重厚な風味 |
米国(ハワイコナ) | 爽やかな酸味と適度なコク |
カネフォラ種の風味の特徴
インドネシア(WIB) インド(パーチメント AB) | すっきりした苦味と特有の香ばしさ |
スマトラ式(ウェットハル)
スマトラ式は、インドネシアのスマトラ島の一部でおこなわれている生豆の取り出し方。殻に包まれたままの生豆を十分に乾燥させないまま脱殻してさらに乾燥させることで、「マンデリンコーヒー」特有の深緑色の生豆になります。
アラビカ種の風味の特徴
主な生産国(銘柄) | 風味の特徴 |
インドネシア(マンデリン) | なめらかな苦味と深いコク |
焙煎の度合いで風味が微妙に違う
コーヒー豆は、生豆の状態では味や香りがほとんどありません。そこで、実際に風味を出すために重要な役割を果たすのが「焙煎(ばいせん)」。生豆を煎る作業のことで、成分を加熱によって化学変化させて私たちがよく見かける茶〜黒褐色のコーヒー豆に仕上げていきます。
コーヒー豆は焙煎時に味と香りが生まれる
焙煎をして初めて生まれるコーヒーの味や香り。
- 何度のお湯に何分さらすか
- どんな焙煎機で焙煎するか
- いつ混ぜ合わせるか(ブレンドするか)
など、火のかけ方や煎る時間、ブレンドコーヒーの場合はいつ混ぜ合わせるかなどによって、品種本来の味・香りからその微妙な違いまでさまざまな風味を生み出します。
焙煎の度合いは、大きく分けると3つ。焙煎度が浅いと酸味が強く、深くなるほど苦味・コクが増していきます。
浅煎り | 焙煎時間が短く、香りとコクが浅い状態 一般的に飲みにくいとされている |
---|---|
中煎り | 苦味・酸味のバランスが良い状態 コーヒー豆本来の味が出やすく、レギュラーコーヒーに多い |
深煎り | 焙煎時間が長く、香ばしくてビターな味わい エスプレッソやカフェオレなどミルクや砂糖を加えるコーヒーに多い |
全8種類の焙煎度と風味の特徴
焙煎度は、細かく分けると全8段階!この種類を知れば、「コーヒー本来の味がするのはどれか」「どれくらい苦いか」などが分かるので好みのコーヒー豆がさらに選びやすくなりますよ。
焙煎度 | ロースト名 | 色・風味の特徴 |
浅煎り | ライトロースト | 黄色っぽい色 香り・コクが弱く酸味が強い |
シナモンロースト | シナモン色 苦味がほとんどなくすっきりした酸味がある | |
中煎り | ミディアムロースト | 薄い茶色 ほんのりした苦味でさっぱりしている |
ハイロースト | 茶色 柔らかな口あたりとすっきりした苦味がある | |
シティロースト | やや黒色 コクのある苦味がある | |
深煎り | フルシティロースト | 黒茶色 酸味が弱く、コーヒー独特の苦味・コク・香りが強い |
フレンチロースト | 黒っぽい色 酸味がほとんどなく、苦味がとても強くてコク深い | |
イタリアンロースト | 焦げたような黒色 苦味とコクがとても強く、スモーキーな香りがする |
飲みたいコーヒーから種類を選ぼう
コーヒー豆は、気になる風味のものに注目しつつ「飲みたいコーヒーに向いているもの」を選ぶのがコツ!
- コーヒー豆の挽き方
- コーヒーの淹れ方・抽出器具
- メニュー(カフェオレ・エスプレッソなど)
などにもそれぞれに種類があり、適したコーヒー豆を使えば美味しいコーヒーが味わえます。
では最後に、コーヒーのメニューの種類と淹れ方の種類を紹介しますね。
- あなたが好きなメニューはどんなコーヒー豆が使われているのか
- 選んだコーヒー豆は淹れ方の違いでどんな風に楽しめるのか
それぞれチェックして、飲みたい&作りたいコーヒー豆探しにぜひ役立ててください!
メニューの種類と向いているコーヒー豆
メニュー名 | 内容 | 向いているコーヒー豆 |
アメリカンコーヒー | 浅煎りのコーヒー豆で抽出したもの | 浅煎り豆 |
ウィンナーコーヒー | コーヒーにコクの強いホイップクリームをのせたもの | 苦味の強い深煎り豆 |
ダッチコーヒー (水出しコーヒー) | 水で時間をかけてじっくり抽出したもの | 苦味がしっかりと出る深煎り豆 |
カフェオレ | コーヒーと温めたミルクを1:1で合わせたもの | 苦味・酸味の強い深煎り豆 |
エスプレッソ | 短時間でコーヒーの旨みを絞ったコーヒー&抽出方法 | 極細挽きの中〜深煎り豆 |
カフェラテ | エスプレッソに泡立てたミルクを加えたもの | 深煎り豆 |
カプチーノ | エスプレッソに泡立てたミルクとホイップしたミルクを加えたもの | 深煎り豆 |
カフェモカ | エスプレッソにミルクとチョコレートシロップを加えたもの | 深煎り豆 |
カフェマキアート | エスプレッソに少量の泡立てたミルクを加えたもの | 深煎り豆 |
淹れ方の種類と味わい
淹れ方 | 使い方 | 一般的な仕上がり |
ペーパードリップ | 紙製のフィルターにコーヒー粉を入れて上からお湯を注ぐ | まろやかな味わい |
ネルドリップ | 分厚い布製(ネル)のフィルターでコーヒー粉を濾す | 滑らかな舌触りでコクのある味わい |
フレンチプレス | コーヒー粉をメッシュのフィルターに入れてお湯で数分間抽出する | コーヒー本来の味わい |
エアロプレス | プラスチック製の筒にコーヒー粉を入れてお湯を注ぎブランジャーで押し下げる | キレのある味わい |
サイフォン | フラスコでお湯を沸かし、フィルターをセット。ロートにコーヒー粉を入れ攪拌後弱火で放置する | まろやかで優しい味わい |
パーコレーター | バスケットにコーヒー粉を入れ直火にかける | 薄味〜濃い味まで調整可能 |
エスプレッソマシン | コーヒー粉をホルダーに入れ、マシンにセットし高い圧力を短時間かける | コクのある濃厚な味わい |
ウォータードリップ (水出しコーヒー) | コーヒー粉をフィルターに入れてかき混ぜ、水タンクをセットし抽出を待つ | 雑味・苦味の少ないすっきりとした味わい |
いろんなコーヒー豆を試してみよう
- 品種
- 付加価値
- 生産国・地域
- ストレート・ブレンド
- 焙煎度
- 挽き目
- メニュー
- 淹れ方
など、たくさんの種類があるコーヒー豆。選べる幅が広いからこそ、味や香りの楽しみ方も広がります!今まで飲んだことのないコーヒー豆も1度試してみてはいかがでしょうか?あなたのコーヒーの世界に新しい発見があれば幸いです。