コーヒーの基本

アラビカの品種別にみる風味と特徴!ロブスタとの違いと美味しく楽しむ方法

Arabica

どんなコーヒー豆が使われているんだろう・・・と詳細を見たときに、「アラビカ種のコーヒー豆を使用」と書いてあり疑問に思ったことはありませんか?コーヒー豆の銘柄は「ブラジル」などの産地名が一般的ですが、もっと大きな分類で「アラビカ種」や「ロブスタ(カネフォラ種)」という品種があります。

ここでは、

アラビカってどんなコーヒー豆?
ほかとどう違うの?

と気になるあなたへ、アラビカ種コーヒー豆の風味と特徴をご紹介。200品種以上ある中から、代表して5つピックアップしました。ロブスタとの違いや美味しく楽しむ方法もお届けします。

アラビカはどんなコーヒー?

Arabica

コーヒー豆の原種の1つ

アラビカ(正式名称:コフィア・アラビカ)は、コーヒー豆の原種の1つ。アカネ科のアラビカコーヒーノキから採れたもので、ロブスタコーヒーノキ・リベリカコーヒーノキとともに「コーヒー3原種」といわれています。

3つのうち、もっともよく飲まれているのがアラビカで生産量は全体の約6割!ほかと比べて風味に優れており、ストレートでもブレンドでも美味しく味わえると評判です。

エチオピア原産

アラビカ種の原産地はアフリカのエチオピア。中部から西部の山岳地帯にある標高1,000〜2,500mの霧が多い&湿度が高い場所で、野生のコーヒーノキを発見したのが最初でした。

現在はブラジル・グアテマラ・タンザニアなどのコーヒー主要産地をはじめ、中米やアジアでも広く栽培。エチオピアはもちろん、たくさんの国からアラビカ種のコーヒー豆が生産されています。

エチオピアといえば、コーヒー発祥の地として有名ですよね。現在栽培されている品種の多くは17〜18世紀にエチオピアで見つかったといわれているほど。国土の多くが高地で涼しく、首都のアディス・アベバは標高2,400mにあります。

栽培の厳しさが美味しい理由

アラビカ種が美味しい理由は、栽培環境の厳しさに打ち勝っているからこそ!

  • 日中と夜間の温度差が大きい
  • 標高1,000〜2,500mの熱帯高地
  • ミネラル分の多い火山灰性の土壌

これらは育成にちょうど良いストレスを与え、美味しい成分をぎゅっとつめ込んだコーヒー豆に育ちます。

ただ、アラビカ種はもともと育ちにくい弱い植物。

  • 乾燥
  • さび病
  • 高温多湿

などの影響で実がなりにくく、高地で栽培されているため労働力もたくさん必要です。さらに、発芽から収穫できるまでは5〜6年も!例えばコロンビアのコーヒーは発芽から約24ヶ月で収穫できますが、その3倍近くもかかってしまうんです。

アラビカ種は栽培に手間がかかるけど、そのぶん美味しい要素はたっぷり!酸味がしっかりとしており、豊かな苦味・甘み・香りが感じられます。

品種別にみる風味と特徴

Good coffee

アラビカ種は、品種がさらに細かく分けられています。その数なんと200種類以上!栽培が難しいだけに、品種改良や突然変異で変わったものが多いんです。

育つ場所や育てる生産者が違うので風味もさまざま。総じて「酸味が強い」「フローラルな甘い香り」と表現されますが、一概にはいえません。

ここでは、アラビカ種を代表して5つピックアップ!風味とコーヒー豆の性質や形状を紹介しますね。

ティピカ

アラビカ種の中で、もっとも原種に近いティピカ。ほかと比べて上質な酸味と風味があるものの、病気や虫に弱く育てにくいため生産性が高い品種への植え替えが進んでいます。

形状は、先端が少し尖っていてやや長細め。アラビカ種の「在来種(古くから存在する種類)」とも呼ばれており、品種の多くはティピカが大元となっています。

ブルボン

ティピカの突然変異で生まれたブルボン。芳醇な香りと特有の甘味があり、しっかりとしたコクと豊かな風味が味わえます。

ティピカと並んで2大優良品種と言われていますが、育てにくさも同様。名前の由来は、インド洋の真ん中に浮かぶブルボン島(現レユニオン島)で生まれたため。世界で生産量No.1を誇るブラジルコーヒーの原型となっており、形状は丸めで小ぶりです。

カトゥーラ

ブルボンの突然変異で生まれたカトゥーラ。良質な酸味と渋みがあり、グアテマラなどの中米各国で主要の品種です。樹高が低く病気・虫に強いので、栽培しやすいのも特徴。形状は小粒です。

ムンドノーボ

ムンドノーボは、ブルボンとスマトラ(ティピカの亜種)との自然交配種。酸味と苦味のバランスが良く、1950年ごろからブラジルで栽培されています。収穫までに時間がかかるのが難点ですが、低木で病気や虫に強いので育てやすい品種だといえます。

ゲイシャ

エチオピア原産の野生種から突然変異したゲイシャ。フルーツのような柑橘系の酸味と、はちみつやチョコレートのようなコク深い甘みがあります。

病気に弱く樹高が高いので、栽培しにくく希少な存在。味や香りの上質さから「幻のコーヒー」といわれるほどで、スペシャルティコーヒーのトップに君臨しています。

アラビカ種とロブスタ(カネフォラ種)の違い

difference

世界で生産されるコーヒー豆は約6割がアラビカ種。残りの約4割は「ロブスタ(正確にいうとカネフォラ種の亜種)」です。

日本ではアラビカ種のコーヒーが多く飲まれている一方で、最近はロブスタにこだわるショップも増加中!どんな違いがあるのかを簡単に知っておきましょう。

比較表

アラビカ種 ロブスタ(カネフォラ種)
原産地 エチオピア アフリカ
栽培条件 厳しい 易しい
耐病 弱い 強い
収穫量 少ない 多い
価格 高い 安い
豆の形状 扁平・楕円 丸みがある
酸味が強い 強い苦味と渋み
香り フローラルな甘い香り 麦茶のような香ばしい香り
使われ方 レギュラーコーヒー インスタントコーヒー
水出しコーヒー
缶コーヒー

アラビカ種とロブスタは栽培のしやすさが対照的。ロブスタは標高300〜800mの低地でも育つため、平地の多いアジア諸国などの広い範囲でも生産されています。

1度に収穫できる量が多く安価ですが、インパクトのある独特な苦味や香りを持つのが欠点。そのため、インスタントや缶コーヒーなどの加工で風味がカバーされ、アラビカ種のようにレギュラーコーヒーとして飲まれることはほとんどありません。

風味の違いは、カフェインの含有量や少糖類などの成分バランスが異なるため!苦味の1つであるカフェインは、ロブスタがアラビカ種の約2倍。一方、焙煎時にコーヒー豆の色や香りの元となる少糖類はロブスタよりもアラビカ種が多いです。

アラビカ種とカネフォラ種のハイブリッドが登場

より良い品質を求めるため、世界のコーヒーはさまざまな改良が進んでいます。その中で、アラビカ種とカネフォラ種の良いとこどりをしたハイブリッドタイプのコーヒー豆も登場!病害虫に強く、栽培しやすく、豊かな風味も持ち合わせています。

例えば、「カティモール」は以下を掛けたわせた品種。病気に強く生産性に優れているため人気です。

  • カトゥーラ(アラビカ種)
  • ハイブリッドティモール(アラビカ種&カネフォラ種)

コーヒー豆生産量の第3位を誇るコロンビアにも、実は上記2つのハイブリッドタイプがあります。その名も「バリエダコロンビア」。さび病の対策品種として生まれ、風味は劣るものの、栽培のしやすさからカトゥーラ・ティピカと合わせてコロンビアコーヒーの主力となっています。

アラビカ種のコーヒーを美味しく楽しむ方法

さまざまな場所でGETできるアラビカ種のコーヒー。魅力がたっぷり感じられるような、美味しく楽しむ方法を紹介しますね。

アラビカ100%のスペシャルティコーヒーを味わう

より優れた風味を味わいたいなら、アラビカ種だけを使った「スペシャルティコーヒー」をチョイスしてみましょう!ほかのコーヒーと比べて絶対に美味しい!というわけではなく、アラビカ種の魅力を生かした新しい味に出会えるのが魅力です。

スペシャルティコーヒーとは、生産から使用するカップまでのすべての工程が徹底されたコーヒーのこと。私たちが1杯のコーヒーを飲むまでにたくさんのプロが関わっており、コーヒー豆の生産量は全体の5%ほどしかありません。

スペシャルティコーヒーの魅力はこちらも参考にしてくださいね。

いろんな品種を飲み比べる

アラビカ種は200種類以上!有名なコーヒー豆のほとんどがアラビカ種だともいわれています。その違いを、品種名・焙煎度・ブレンドの内容・販売メーカーなどさまざまなジャンルで飲み比べて楽しんでみませんか?

例えば、品種名なら、

  • ブルーマウンテン
  • マンデリン
  • ハワイコナ
  • モカ

などが有名。

以下のように、焙煎度やブレンドの内容を変えた飲み比べのセットも販売されています。ぜひ探してみてくださいね。

アラビカ種のコーヒーは気軽に楽しめる!

世界のコーヒー豆の中で約6割を占めるアラビカ種は、日本人の私たちにとっても身近な存在。コーヒー好きのあなたなら、きっと知らないうちに1度は飲んだことがあると思います。

大手コンビニのファミリーマートのファミマカフェは、ブラジル・コロンビア・グアテマラ・タンザニアのアラビカ種100%を使用!大手コーヒーチェーン店のスターバックスコーヒーも、厳選されたアラビカ種100%を使用!Amazonや楽天市場などの通販サイトでも、気軽に購入できますよ。

今回ご紹介した、アラビカ種を美味しく楽しむ方法。あなたのコーヒーライフを充実させるために、ぜひ参考にしてくださいね。