コーヒーの基本

コロンビアコーヒーの美味しい飲み方4パターン!地域によって風味が違います

Colombian coffee

コーヒー豆生産量の世界第3位を誇るコロンビアコーヒー。深煎りの苦味やコクが好きな日本人から、とても人気のコーヒー豆です。

「エメマン」の愛称で親しみのある缶コーヒー「ジョージア エメラルドマウンテン」も、コロンビアコーヒーの1つ。人気の高さから、2019年には発売25周年記念を開催!あなたもあなたの両親も、1度は飲んだことがあるのではないでしょうか。

ここでは、

なぜ美味しいの?
どんな味がするの?
美味しい飲み方は?

と気になるあなたへ、コロンビアコーヒーが美味しい理由や味と香りの特徴をご紹介。コーヒー豆を栽培する生産者から私たちの手元に届くまでの歩みを知って、コロンビアコーヒーをより美味しく味わいましょう!

コロンビアコーヒーが美味しいのはなぜ?

meaning

コロンビア共和国(スペイン語:Colombia)は、太平洋とカリブ海に面する国。日本へはコーヒー豆や花卉(かき:花の咲く草)の輸出が多く、日本からは自動車や電子機器が輸入されています。

そんなコロンビアからやってくるコーヒーは、なぜ美味しいと評判なのでしょうか?主な理由を3つ紹介しますね。

豊かな自然と天然資源に恵まれているから

コロンビアコーヒーが栽培されるのは、美味しいコーヒー作りの条件をクリアした緑豊かな丘陵地帯。なだらかな起伏や丘が続く地形で、南北に縦断するアンデス山脈のふもとにあります。

栽培環境の主な特徴をみてみましょう。

  • 朝と夜の温度差が大きい
  • 栄養価の高い火山灰性の土壌がある
  • 山岳地帯の面積が広く、水はけが良い
  • 年間2,000ミリ前後の豊富な雨が降る
  • 地域によって雨季と乾季が異なる

日中の暑さと夜間の冷え込みの温度差は、コーヒーにちょうど良いストレスを与えて糖分の生成を促進。焙煎によって味や香りが生まれたときに強い甘みが出ます。

標高が高いところの土壌に多く含まれるのは、植物が豊かに育ちやすい火山灰。根が伸ばしやすく、保湿力に優れているので乾季でも十分な栄養が与え続けられます。

コーヒーの栽培に最適な気候条件は、まとまった雨が降る雨季と乾季が交互で訪れること。コロンビアはその条件を満たすだけじゃなく、地域によって時期が違うので1年中新鮮なコーヒー豆が収穫できます。

2011年6月には、なんと「コロンビアのコーヒー産地の文化的景観」がユネスコの世界遺産に登録!世界に認められるほどの魅力ある地域だと分かりますよね。

コーヒーに関わる人がたくさんいるから

コロンビアコーヒーの始まりは1730〜1732年ごろ。それから代々受け継がれてきた技術や知識、また、コロンビア全体でのコーヒーに対する取り組みによって高品質なコーヒー豆ができあがります。

起伏の多いコロンビアでは、大きな設備が使いにくくコーヒーの栽培や収穫などはほとんどが人の手作業。にもかかわらず、生産量は2019年時点で885,120トン!ブラジル・ベトナムに次ぐ世界第3位で、豊かな生産力をもっていることが分かります。

具体的な数字で見てみると以下のとおり。

  • コーヒーの生産地:全国32県のうち20県(588箇所)
  • コーヒー関連の事業で収入を得ている人:人口約5,034万人のうち約300万人

ほとんどの地域でたくさんの人が生活と密着しており、コーヒーの生産がコロンビア全体を支えています。

※参照元:コーヒー豆の生産量|グローバルノート株式会社(2021年8月時点)
※参照元:コーヒーの国、コロンビア|コロンビアコーヒー生産者連合会(2021年8月時点)

「コロンビアコーヒー生産者連合会(FNC)」があるから

コロンビアでは、「コロンビアコーヒー生産者連合会(FNC)」によってコーヒーの品質が保たれ、より美味しいものへと進化していくためにさまざまな取り組みが行われています。

FNCとは、1927年に設立されたコーヒー生豆及びコーヒー製品の輸出団体のこと。目的は以下のとおりで、世界一リッチなコーヒーとして認められるよう、事業者と消費者どちらに向けても積極的に活動しています。

  • 生産者の良い暮らしを守るため
  • 高品質なコーヒー豆の安定した生産を続けるため

公式ホームページでは、「HOLA!(スペイン語:こんにちは)」という挨拶とともに生産者の顔写真や生産地の情報を細かく掲載。スペシャルティコーヒーのイベント参加や現地の新たな発見など、いろんな情報が随時更新されています。

最新のニュースを見ると、全国54万のコーヒー生産者をサポートする「オンラインのコーヒー学習プログラム」がスタートしたのだとか。人々の味覚と知識向上のために、コロンビアのコーヒーを知って誇りを持ち、その知識と情熱を拡散してもらうのが目的だそうです。

コロンビアコーヒーが私たちに届くまで

Floral scent
どんな風につくられているの?

美味しいコロンビアコーヒーが私たちのところにやってくるまでの流れを簡単にみていきましょう!

苗床〜収穫

  1. 種を苗床に植える
  2. 75日間で発芽し、ビニールポットに移植する
  3. 4〜6ヶ月後、育った苗木を農園へ移植する
  4. 移植してから8ヶ月後に最初の開花
  5. 開花してから2〜3ヶ月後に緑の実がなり始める
  6. 開花してから8ヶ月後にコーヒーチェリーが成熟
  7. 収穫

種を植えてから収穫されるまでは、約24ヶ月。熟成すると、1日約90kgの実が摘み取れます。

精製〜協同組合

  1. コーヒーチェリーを精製
  2. 水分量が10〜12%になるまで1〜3日乾燥
  3. 協同組合で出荷または2〜3ヶ月保管

収穫したコーヒーチェリーはすぐに精製へ。2つの方法があります。

醗酵 伝統的な水洗式で12〜18時間
節水型の機械 重力を用いるエコな機械「BECOLSUB」で約1分間

その後の乾燥には3つの方法があります。

トンネル 25℃の5日間で500kg
パティオ 22℃の10日間で500kg
サイロ 50℃の20〜24時間で500kg

脱殻〜格付け

  1. 脱殻した生豆を麻袋で3〜6ヶ月保管
  2. コーヒー鑑定士による格付け

殻が取り除かれ、コーヒーの生豆ができたら保管と同時に格付け。保管される期限は地域の気温によって異なりますが、最高の品質を保つために6ヶ月を超えることはありません。

コロンビアコーヒーの格付けは、スクリーンサイズ(豆の大きさ)によって決まります。

スクリーンサイズ 規格
18 エクセルソ プレミアム
17 エクセルソ・スプレモ
17 エクセルソ マラゴジッペ
16 エクセルソ エクストラ
15 エクセルソ ヨーロッパ
50%が15、残りは14 エクエルソ・UGQ
12 エクセルソ カラコル

最高ランクに近いスプレモは、エメラルドマウンテンと並ぶほど有名。13以下のものは輸出せず、国内で消費されます。

輸出〜輸入

  • 港に搬送
  • 2〜3日保管後、海外へ出荷
  • 日本に到着

スクリーンサイズが14以上の高品質なコーヒー豆は、いよいよ輸出へ!カルタヘナまたはブエナベントゥーラという港で一旦保管して出荷され、日本に向けて出発していきます。

※参照元:マンガでわかる!100%コロンビアコーヒー物語|コロンビアコーヒー生産者連合会(2021年8月時点)

味と香りはコーヒー生産地域で違う

Production area

コロンビアコーヒーが栽培されているのは、南北に広がる3つの山脈。日本の約3倍もの面積があり、コーヒーの味や香りはそれぞれの地域で特徴が違います。

北部地方

  • 柔らかな酸味
  • ナッツのようなコク
  • チョコレートのような香り

このエリアは、マグダレナ、カサナレ、サンタンデール、ノルテ・デ・サンタンデールの4つが該当。低めの標高と高めの気温が特徴で、より長く日光に当たるため高低差で段階分けされた日陰で栽培されます。収穫時期は10〜2月。

中部地方

  • フルーティーでハーブのようなバランス良い香り

このエリアは、カルダス、キンディオ、リサラルダ、ノルテ・デ・ヴァジェ、アンティオキア、クンディナマルカ、ノルテ・デ・トリマの7つが該当。雨季と乾季がまばらにあり、年間を通じて新鮮なコーヒーが収穫できます。収穫時期は9〜12月。第2期として4〜6月があります。

南部地方

  • まろやかな酸味
  • 柑橘系で甘い香り

このエリアは、ナリーニョ、カウカ、ウイラ、スール・デ・トリマの4つが該当。赤道に近い地域ですが、標高が高いため気温は低いのが特徴です。収穫時期は1〜6月。

原産地呼称制度について

コロンビアでは、特定の地域で栽培された個性豊かなコーヒーに「原産地呼称制度」を用いて付加価値をつけています。たった1つのコーヒーそのものの味を楽しむのが目的で、

  • 産地の差別化、ブランド化
  • 生産者への直接的な利益の還元、収入の向上

を目指したコーヒー業界のトレンドに沿う取り組みです。

原産地呼称付きのコーヒーは、たくさんの規定やノルマをクリアしなくてはなりません。現在は、以下の4県が認定。それぞれの味や香りも要チェックです!

カウカ ・バランスがとても良い
・甘い、フローラル、キャラメル、柑橘系の香り
ウィラ ・酸味と甘さのバランスが良い
・甘い、フルーティ、キャラメルのような香り
ナリーニョ ・マイルドな酸味ですっきりとした味わい
・甘い、柑橘系の香り
サンタンデール ・甘い、ハーブ、フルーティな香り

コロンビアコーヒーの美味しい飲み方

日本で人気の高いコロンビアコーヒー。美味しい淹れ方や味わい方で、楽しいひとときを過ごしませんか?

おすすめの方法は4つ。それぞれ詳しく紹介しますね。

①浅煎り豆×低めの温度で抽出

Espresso machine

レギュラーコーヒーを淹れるときは、「ミディアムロースト〜フルシティロースト」の浅煎りの焙煎度がおすすめ。苦味やコクが柔らかいので、少し低めの温度で抽出して飲むと濃厚なコクと甘みにほんのりと酸味が感じられます。

特におすすめなのは、コーヒーの凝縮された深いコクが楽しめるエスプレッソ。エスプレッソマシンに極細挽きのコーヒー粉と水をセットし、ボタンを押すか直火にかけるかで抽出すればできあがります。

②ナッツ系のお菓子と一緒に味わう

nuts

コロンビアコーヒーは、ナッツ系のお菓子と相性抜群!フルーティーな香りがナッツの香ばしさとマッチし、より豊かな風味が味わえます。例えば、チョコレートのような香りのコロンビアコーヒーなら「アーモンドチョコレート」がおすすめ。

FNCでもフードペアリングについての科学的な研究が進められており、お菓子以外の食材ではトマト・カボス・豆腐・ライチ・ハムなどと相性が良いと公表されています。

③ほかの品種とブレンドする

Blended coffee

バランスの良いコロンビアコーヒーは、ほかの品種とも合わせやすいコーヒー。ブレンドコーヒーのベースに用いられることが多く、自分でブレンドすれば新しい味わいと出会えたりあなただけのオリジナルコーヒーが楽しめたりします。

例えばこちら。ぜひ試してみてくださいね。

ブラジル さっぱりとした苦味の後味になる
マンデリン コクと苦味が出る
エチオピア 酸味と香りが出て明るい味わいになる

④手軽な市販のコーヒーを買う

美味しいコロンビアコーヒーを簡単に飲みたい!

そんなときは市販のコーヒーを購入すればOK!ブレンドされたものが多いですが、スーパーやコンビニなどあなたの身近でコロンビア産のコーヒーが味わえます。

コンビニコーヒー

大手コンビニの淹れたてコーヒー。マシンを使った本格的な味が24時間スイッチ1つで楽しめるのが魅力です。

公式ホームページで確認すると、以下のように産地が掲載されていました。ただし、アイスコーヒーやカフェラテなど、メニューによって使われる種類は異なるようです。

FAMIMA CAFÉ
(ファミリーマート)
・ブラジル
・コロンビア
グアテマラ
・タンザニア
MACHI café
(ローソン)
カフェラテ
・ブラジル
・コロンビア
・グアテマラ(SHB)
・インドネシア(マンデリンG1)

缶コーヒー

缶コーヒーなら、買ってふたを開けるだけ!自動販売機やコンビニのほか、通販サイトでも気軽に購入できる優れものです。

こちらは、FNCが認定したとても希少な高級豆「エメラルドマウンテン豆」を使用。豊かであつみのあるミルク100%と組み合わせ、やや深めの焙煎でコクとロースト感のある華やかな香り立ちを強化しています。

こちらは、コロンビア産のコーヒー豆をベースにしたブラックコーヒー。原材料はコロンビア26%、ブラジル25%、グアテマラ25%、香料となっており、スペシャルティコーヒー専門店「猿田彦珈琲」監修の、専門店のような味わいが楽しめます。

国全体で丹精に育てあげられるコロンビアコーヒー

美味しいコーヒー栽培の条件をクリアした環境。コーヒーに関わる多くの国民。コロンビアコーヒーをより良いものへと目指して活動するFNC。コロンビアコーヒーは、コロンビア全体で丹精に育てあげられた高品質なコーヒーです。

味や香りは地域ごとに異なりますが、それも魅力の1つ!それぞれのコーヒー豆を買って飲み比べたり、ほかの品種とのブレンドで新しい味を見つけたりしてみてくださいね。